こんばんは!幹広です。
今回はタイの経済政策について少し紹介したいと思います。
近年、タイは実質GDP成長率は年平均わずか3.6%に留まっておりASEANの中で最も低いです。
外国資本の流入や資源開発によりバンコクを起点として目覚ましい発展を遂げてきたタイですが、人件費の高騰や技術開発力の相対的低下、クーデターなどにより成長率は鈍化傾向にあり、いわゆる「中所得国の罠」に陥ってしまっています。
経済成長率を高めるためには?
タイ政府は2015年にThailand 4.0という経済・開発政策を打ち出し、20年をかけて高所得国を目指しています。タイ東部経済回廊(Eastern Economic Corridor 通称EEC)の開発がThailand 4.0の中心に据えられており、大規模な投資を20年かけて行い実質GDP成長率を平均5%に高めようとしています。
タイ東部経済回廊(EEC)について
(※写真は産経ニュース記事より)
バンコクに近い東部3県(チャチュンサオ、チョンブリ、ラヨーン)をタイ東部経済回廊(EEC)に指定し、次世代自動車や先進食品、スマートエレクトロニクス、航空関連やロボットなど10分野に対して大規模な投資や減税措置を実施するとしています。
タイ政府は今後5年間でこれらの地域に対して1兆5,000億バーツの投資を官民で行い、この地域をバンコクと並ぶ国際都市として機能させることを目論んでいます。このタイ東部地域は現在産業の集積が進んでおり、自動車部品関連ではグローバルサプライチェーンにおける生産拠点になっています。
このタイ政府の投資誘致政策により、タイ現地企業や日系企業はもちろん、外資系企業の直接投資も拍車がかかり盛んになると予想されています。
このEECの主要プロジェクトとして、主に次の5つが挙げられます。
①U-Tapao国際空港の開発
ウタパオ国際空港はパタヤから南へ約30〜40km離れたところに位置する、スワンナプーム、ドンムアンに次ぐ首都圏第3の国際空港です。
昨年の利用客は年間約80万人でしたが、5年後には年間1,500万人まで引き上げ、15年後には年間6,000万人利用可能に拡大することを目指しています。(前年度スワンナプームは約5,600万人、ドンムアンは約3,500万人)
②高速鉄道敷設・複線化
(※写真は中国の和諧号)
上記の3国際空港を結ぶ高速鉄道の開発。
日本政府も大きな関心を寄せている一大プロジェクトだそうです。
これが実現すればバンコクと東部3県を60-90分で結ぶことが出来、大変便利になります。
おそらく、近々タイの古き長距離鉄道は新幹線のような高速鉄道に取って代わられるのでしょう。
③レムチャバン港開発
チョンブリにあるタイ最大の貿易港の増強・開発。
2013年度のデータによると、貨物取扱量世界第22位の港です。
④特定産業の誘致
特定の10産業の誘致を行うことでEEC地域内を発展させる計画。
冒頭で述べた通りです。
⑤新都市開発(スマートシティ)
IOT技術を用いた環境配慮型エネルギー・社会インフラの次世代型管理を担う都市、スマートシティ開発の計画。
将来的な人口増加が見込まれており、インフラ整備や住宅やリゾート施設などの設立が進んでいます。
まとめ
EEC構想はタイが経済成長を達成するための最も重要なストラテジーであり、官民協働で取り組んでいます。
ちなみにタイへの直接投資額は依然として日本(日系企業)がナンバー1であり、タイに進出している日系グローバル企業にとってもこの大きな投資機会をどう活かすか、勝負になると思います。
成功に向けて様々な困難はあると思われますが、10年後20年後にバンコクや近郊における街並みはどのようになっているか非常に楽しみです。
日本の大学では経済学部なので、今期は経済系の授業をたくさん取ってます。よって、自分の勉強がてらに色々調べてまた別の機会にタイや東南アジアなどの経済に関する他の記事も書けたらなと思ってます。
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